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【日本アメリカ史学会編集委員会】第45号特集投稿論文募集のお知らせ

日本アメリカ史学会会員のみなさま

『アメリカ史研究』第45号では、「環境」というテーマで論稿を募集します。下記の趣旨説明と投稿要領を参照のうえ、ふるってご応募下さい。

■趣旨説明
 『アメリカ史研究』第45号の特集は「環境」とする。2022年は、レイチェル・カーソンが『沈黙の春』(1962年)を出版してから60年となる。1960年代の抗議運動を経て、1970年には最初のアースデーが開催された。この間に人間の営みを直視して自然環境を守る運動を伴った思想としての環境主義(environmentalism)が芽生え、姿を現したのだ。環境主義は新たな学問領域としての環境史の形成を促し、1977年にはアメリカ環境史学会が設立された。グローバル化の進展にともなって人々の環境への関心がさらに高まる中、環境史は世代交代をしながら包摂的な学問領域として人為的な境界を越える可能性を示すに至った。本号の特集では、その最新の動向を分野横断的に提示したい。

 本誌では、40号(2017年)特集「『外』から捉え直すアメリカ史」において、小塩和人「環境史研究——第一世代の成果と第二世代の挑戦」が、アメリカ環境史をマッピングし、問題提起している。環境史に対する関心は1970年代からゆっくりと広がったが、1980年代においても、いまだ歴史教科書においてその視点は希だった。しかしその後数十年の間に、アルフレッド・クロスビーが論じた「コロンブスの交換(Columbian Exchange)」(1972年)のような環境史の知見が当たり前に盛り込まれるようになった。

 アメリカ史分野においては、フレデリック・ジャクソン・ターナーの「フロンティア学説」(1893年)のように、古くから自然環境が社会に与える影響についての言及がみられる。ターナーの環境決定論は、アメリカ例外主義と結びついて一つの大きな物語を提示するに至り、1970年代以降の環境史家が乗り越えるべき先例になった。小塩論文は、1990年代の雑誌上での論争が、アメリカ環境史における「分水嶺」になったと指摘する。資本主義の発展が労働関係ばかりでなく自然観にも影響したとする唯物史観と、文化的要因の変化を考慮に入れるべきという唯心史観とが衝突したのだ。第二世代の研究者はこうした論争を乗り越え、「環境と人間の相互関係」を描く学問領域として環境史を発展させてきた。

 環境史への関心の背景には、現代社会が地球規模の環境破壊に直面しているという現実がある。また、2021年発足のバイデン政権が、環境対策を大型連邦財政投資の新機軸として打ち出すなど、これまでにない積極的な展開がみられる。しかし環境史は、こうした現実面の分析だけでなく、環境的視点から物語を再構成することで、人為的境界を乗り越える可能性を提示している。第一の境界は、国境や州境、地域の境などの地理的境界である。環境問題においてはこうした境界は意味をなさず、そのことは必然的にナショナル・ヒストリーを解体し、グローバルな歴史叙述や、地域的な歴史理解をもたらす。越えられるべき第二の境界は、人種、ジェンダー、階級といった社会における分断線である。環境への注目は、開発における先住民居住地域での環境汚染など、資本主義そのものが構造的差別を内包して発展してきたことを明るみにした。そして第三は、学問領域の境界である。環境史は、社会史と重なりつつ、生態学や医学など自然科学の成果ばかりでなく、地理学、経済学、政治学、文学、思想史など隣接する領域を包摂して発展してきた。こうして、「環境」と「自然」を所与のものではなく歴史的構築物として捉え直す視座がもたらされた。さらに、環境史の対象は、環境意識が高まるはるか以前の過去へと広がっている。

 先述した小塩論文は次のように締めくくられる。60年代の政治文化を背景に同じ年に誕生したアメリカ環境史学会とアメリカ史研究会(現アメリカ史学会)は、「分野横断的に新たな問いを立て、空間軸や時間軸を組み替えることで、既存の研究をとらえなおす使命を負っている」。あらためて、本特集をそのような機会としたい。


■特集投稿論文の要領
1) 投稿資格
  日本アメリカ史学会の会員

2) 制限枚数
  本文・脚注ともに1ページ 43字×38行で 17ページまで 注・図表を含む(厳守)
  (英数字は2文字で、かな1文字と数える。)

3) 期限
  完成原稿の提出 2022年2月4日(金)必着

4) 注意事項
①完成原稿は、メール添付によりMSワードあるいはPDF形式のファイルの形で編集委員会Eメールアドレス(下記)に送付し、同時にハードコピーを学会事務局に郵送してください(期限厳守)。なお、編集委員会からの受領通知を必ずご確認ください。
編集委員会Eメールアドレス: editors@jaah.jp
事務局住所:日本アメリカ史学会事務局
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル
株式会社毎日学術フォーラム内

②原稿には表紙をつけ、そこに、投稿者の氏名、所属、連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)を明記してください。査読の公平性を保つため、論文本文にはタイトルのみを記し、氏名等は記載しないでください。

③原稿は横書きとします。原稿のフォーマット等に関しては、日本アメリカ史学会ホームページに掲載の執筆要項にしたがってください。

④完成原稿は、編集委員会が審査し、その結果をすみやかに投稿者に通知します。

『アメリカ史研究』編集委員会

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2021年09月30日 21:45に投稿されたエントリーのページです。

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