日本アメリカ史学会第5回(通算33回)年次大会のお知らせ

 来る9月20日(土)、21日(日)の両日、東洋学園大学本郷キャンパスにおいて日本アメリカ史学会第5回(通算33回)年次大会を開催いたします。

 プログラムは、ンポジウム・小シンポジウムA・小シンポジウムB、自由論題の部会がABCの3つ、という構成になっています。楽しく有意義な集いにするべく、みなさまをお待ちしております。ふるってご参加くださいますよう、ご案内申し上げます。

◆非会員の参加も歓迎いたします。ただし、非会員の方からは資料代として1,000円を当日頂戴いたします。入会手続きは会場でも可能です。

◆大会に関するお問い合わせは、運営委員会office★jaah.jpまでお寄せください(迷惑メール対策のため@表記を変更しています、★印を変更のうえ、ご送信ください)。

 (会員のみなさまには6月23日に郵送にて手続きのご案内をさせていただきますので、しばらくお待ちください。)

会場: 東洋学園大学本郷キャンパス

 (最寄り駅 JR総武線・都営三田線の水道橋駅)

 http://www.tyg.jp/tgu/access/index.html

◆プログラム時間割(若干の変更はあるかもしれません。) 

201130 幹事会

201230 受付開始

20日午後130時~500 大シンポジウム「世界史教育のなかのアメリカ史」

 報告:

  岡本智周(筑波大学) 「歴史教育の社会化機能について―日米の歴史教科書に通底するもの―」

  鳥越泰彦(麻布高等学校) 「アメリカの世界史教育・歴史教育日本の世界史教育・歴史教育との比較から

  油井大三郎(東京女子大学) 「アメリカ史の研究と教育高校と大学をどう架橋するか

 コメント:貴堂嘉之(一橋大学)
 司会:中野博文(北九州市立大学)

20日午後500630 総会

  630800 懇親会

21日午前930 自由論題ABC

 自由論題セションA 司会:平田雅己 (名古屋市立大学)                    

  奥広啓太(東京大学大学院博士課程)「国家非常時における大統領・議会関係

                  ―第77議会第1会期(1941年)を中心に―」


  藤原郁郎(大阪大学外国語学部)「アメリカの対イラン外交政策

                 ―第二次世界大戦における中東原油に関連して―」

  阿部博子(東北大学大学院博士後期課程)「喪の共同体

                  ―ベトナム・ベテランズ・メモリアルをめぐる記憶のポリティクス―」

  西住祐亮(中央大学大学院博士後期課程)「米国現実主義者の再検討

                  ―コソヴォ紛争を事例に―」

 自由論題セションB 司会: 後藤雄介(早稲田大学)

  笠井俊和(名古屋大学博士課程)「17世紀末北米植民地の船乗りと西インド貿易

                  ―大西洋史の視点から―」

  福田敬子(青山学院大学)「奴隷制廃止運動と健康改革運動

                  ―アフリカ系アボリショニストDavid Rugglesのユートピア―」

  三浦順子(北海道大学大学院博士後期課程)「アメリカで『メキシカン』として生きるという試み―テキサスにおけるメキシコ系アメリカ人およびメキシコ人移民の組織活動、1910-1929年―」

  吉岡宏祐(東北大学博士後期課程)「現代アメリカ合衆国におけるアファーマティヴ・アクション廃止論争―高等教育機関の事例を中心にして―」

 自由論題セションC 司会: 平体由美(札幌学院大学)

  那須(白井)千鶴(淑徳大学)「19 世紀アメリカ合衆国の動物観構築再考

              ―科学観及びジェンダー観構築の文脈から―」(仮)

  後藤千織(一橋大学博士後期課程)「家族を統制する法体系の社会化と福祉活動

               ―20世紀初頭のカリフォルニア州サンディエゴ郡の事例を中心に―」

  藤本茂生(帝塚山大学)「太平洋を越えたボーイスカウト

               ―20世紀初め大阪の『少年団』組織との関係を中心に―」

21日午後200500 小シンポジウムA19世紀前半の西半球世界秩序」

報告:

  浜 忠雄(北海学園大学) 「ハイチ革命と『西半球秩序』」

  肥後本芳男(同志社大学) 「3つの革命とジェファソンの『自由の帝国』」

  八嶋由香利(慶應義塾大学)

    「J.グエイとその時代:スペインの植民地再編とキューバ、カタルーニャ」(仮題)

 コメント:伏見岳志(慶應義塾大学)  

 司会:中嶋啓雄(大阪大学)

21日午後200500 小シンポジウムB「南北アメリカにおける移民コミュニティ生成」

 報告:

  北村暁夫(日本女子大学) 「戦間期における亡命イタリア人の国際的ネットワークと移民コミュニティ」

  柴田佳子(神戸大学) 「チャイニーズになる、チャイニーズである―ジャマイカの民族墓地をめぐる境界の諸相―」(仮題)

  米山 裕(立命館大学) 「ロサンゼルスの日本人移民社会と交通―移民コミュニティ形成・維持の基盤として交通を考える―」

 コメント:中野耕太郎(大阪大学)

 司会:南川文里(神戸市外国語大学)


------------------------------以下趣旨説明-------------------------------

◆大シンポジウム「世界史教育のなかのアメリカ史」

 2006年のいわゆる世界史未履修問題がよびおこした懸念のひとつは、歴史教育の空洞化であった。教室において、歴史はしばしば受験のための暗記作業とみなされ、世界を理解し世界に関与するための知とは受けとめられていないというのである。

 こうした事例は、歴史学的思考とは何かが再検討され提示され直すべきことを示唆していよう。狭義の教育現場にとってのみならず、歴史の探求が過去についての情報以上の何なのかが、問われているからだ。そして、大学や高校の教室は、その歴史学的な思考の実践と検討の場として中心的であるに違いない。当シンポジウムが、歴史教育を討議の中心に所以である。南北アメリカ史研究の成果を教育の現場にいかに「下ろすか」といったノウハウ論にとどまらず、制度、思想、そして現場での試みといった多角的視点から検討を加えたい。このシンポジウムが、歴史教育をめぐる課題について当学会が継続的に取り組むための出発点になるのを祈念している。

                                      (運営委員会 担当: 松原宏之)

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◆小シンポジウムA「19世紀前半の西半球秩序」の趣旨説明

 西半球世界の秩序をどのように構築するのか、この問いは現在に至るまで重要性を失わない大きなテーマであり続けています。そこには、南北アメリカ世界の共通性とは何か、という理念的課題だけではなく、各国がお互いにどのような軍事・外交・経済的関係を構築するのか、という現実の制度構築の諸問題も含まれます。また、域外の国家や勢力との関係構築という対外的な問題も無視することができません。

 今回のシンポジウムでは、そうした秩序構築の諸相について、19世紀前半に絞って具体的に検討することを目指します。この時期にはすでに独立していたアメリカ合衆国に加えて、中南米カリブ地域に続々と独立国が誕生していきますが、そうした国家群は旧宗主国をはじめとするヨーロッパ諸勢力との関係だけではなく、新興国同士、あるいは残存する植民地との関係を新たに構築する必要に迫られました。いっぽうで、ヨーロッパ諸国の側にとっては、南北アメリカの新興国や残された植民地との関係構築は、旧来のヨーロッパの域内秩序を越えたより広い国際秩序の形成という大きな課題をも含むものでした。簡潔に言うならば、19世紀前半という時代は、一度崩壊した旧来の国際秩序を、全く新しい条件下で構築しなおしていくという、大きな挑戦の時代であったと言えます。

 しかしながら、この時期の秩序は、具体的な個別の交渉を積み重ねる過程で、幾多の変更を被りながら、おぼろげな全体として次第に析出していくものであり、各国の事情や思惑、その時々の具体的な状況によって大きく左右されるものでした。したがって、19世紀後半以降に顕著になる「汎アメリカ主義」のような全体的な理念に基づいて構想されたものでは必ずしもありませんし、ひとつの国の立場のみを検討するだけでは不十分です。

 以上のような理解にもとづくならば、西半球秩序の理解をより豊かにしていくためには、対象とする地域や国の異なる研究者が集い、それぞれの具体的状況についての情報交換をおこない、共同で討議することがどうしても必要になります。本シンポジウムはそうした必要性を認識して企画されたものであり、アメリカ合衆国、ハイチ、スペインという互いに異なる地域の研究者に報告していただき、旧スペイン領アメリカ側からコメントを交えながら、秩序構築の過程を複眼的に理解する枠組みを模索していく所存です。もとより、理解を深めるためには、報告以外の地域の事情をより広く知ること、さらにはそれぞれの国についても多面的に考察することが不可欠ですから、報告者・コメンテーターにとどまらないより開かれた議論が必要です。活発な議論が交わされるよう、さまざまな分野の研究者に幅広くご参加いただくことを心から願っております。

                                     (運営委員会 担当: 伏見岳志)

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◆小シンポジウムB「南北アメリカにおける移民コミュニティの生成」

 国境を越える人の移動への関心はますます高まり、一国史的な枠組を相対化し、領域横断的な歴史を記述する方法が模索されている。当シンポジウムでは、南北アメリカの各地域において、移動する人々の生活世界を構成する移民コミュニティを取り上げる。移民コミュニティは、共同性を前提とした均質な存在ではなく、移動する人々の流動的な生活経験が交錯するなかで立ち現れると考えられる。そのような局面を、歴史研究としていかにとらえることができるのだろうか。シンポジウムでは、移民のコミュニティが様々な歴史的局面においてそのかたちを現す「生成」の諸相を、環大西洋世界におけるイタリア人移民、南カリフォルニア地域社会のなかの日本人移民、カリブ海地域における越境移民といった事例研究にもとづいて検討する。そして、人々の移動とその流動的な営みを描く歴史研究の可能性について議論したい。

                                       (運営委員会 担当: 南川文里)

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以上